ゆず塩

シンドラーのリストのゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ】
第二次世界大戦時。ドイツによるユダヤ人の組織的大虐殺(ホロコースト)が進んでいる。そんな中、ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーが1100人以上のポーランド系ユダヤ人の命を救うまでの話。

【感想】
3時間超えの映画。全然見続けることが出来る出来栄えで。スピルバーグすご。
現実に行われたであろう、色々なシーンをよくぞ撮影したな。感服、脱帽。

嘘みたいに恐怖の世界でしかないのに、現実に起こったことというのが本当に最悪。
この映画を見て、戦争や争いの愚かさを感じない人っているのだろうか……。

良くも悪くも作り物っぽくない。
もちろん作りものなんだけど、ドキュメンタリーやら『映像の世紀』でも見ているかのような……。実際にあの時代に撮影された映像のようにも感じられた。そんなわけない、ってわかっているのに。
人の命が無価値に扱われているのを見るのは、キツイ。

同時に私は、ホロコーストのことをよく分かってなかったと思った。
『ジョジョ・ラビット』とか『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』とか、今作を見た後に見ていたら違う感想を持っていたかも。
ホロコーストを知るためにも見てよかった。

あと、現実に起こった血に塗られた出来事を扱う場合、どう物語化するのかっていう問題。安易にエンターテイメントとして楽しませていいのかちょっと考えさせられてしまった。
それは、最近見た『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』と『スポットライト 世紀のスクープ』から感じたことでもあるんだけど。

制作者側としては、オスカー・シンドラーの善と悪の葛藤を描きたかったらしい(ウィキペディア)。
個人的には、シンドラーのユダヤ人に対する感情が変化する物語にはなっていると感じたけども。
ラストの、「まだ救えた人がいたかもしれない」という後悔は「シンドラーがそこまで変化・成長したのね」ってわかったけども。
出来るだけシンドラーの悪い面も表現することでただの英雄に仕立て上げない、ラストも後悔させることでただのハッピーエンドにしない。といようにして、制作者が「最悪の悲劇を娯楽化しない気概」は感じられました。
……それでもかなり面白くて、エンターテイメント的に楽しめてしまうのだけれど。

下品で悪どい側面もあるシンドラーだから、多くのユダヤ人を救うことができたというのは、世の中単純じゃないな、と思ってしまうが。結局、金は力で、力がないと人は何もできない。

スピルバーグ監督と脚本家のスティーヴン・ザイリアンの凄さを感じる一本でした。
ゆず塩

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