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シンドラーのリストのIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

スピルバーグ作品。
ホロコーストと、それに立ち向かったシンドラーを描く名作。非常に痛ましい描写が多いですが、それだけに、巨匠であるスピルバーグが本作を撮ったことはとても意義深いと感じました。

人間を人間として扱わない。自らの気分や快楽で殺し、生殺与奪の権を握ることの優越感に浸る。
こんな狂った状況が実際に起こっていたなんてにわかには信じがたいけれど、事実なんですよね。

本作の白眉は、「ガス室(実際は殺菌室)」のシーンだと思います。
女性たちが髪も服も、あらゆる尊厳を奪われた上で部屋に集められ、死の恐怖にひたすら怯える。直接的な描写はなくとも、ガス室の恐ろしさをこれでもかと見せつける、とんでもないシーンでした。こんなに怖い絵は、ホラー映画でも観た事ない。

ナチスのホロコーストは、間違いなく人類の最大の失敗の一つだろうし、この出来事から学ぶことは多いですね。

自分はシンドラーの事は勿論、ホロコーストの全体像もあまり分かっていませんでした。腕章で人種を区別したり、人種の優劣を定めた法律があったり。子供でさえ、殺戮を肯定する、その空気感。
大人として、もっと関心を持つべきですね。

しかしまぁ、実際の意図は知りませんが、1000以上の人を救ったシンドラー、その行動にはやはり胸を打たれます。
「1人を救う者は、世界を救う」。果たして自分は、日々、誰かの役に立っているだろうか?道端で困っている人、お年寄り、そんな人に声を掛けているだろうか?寄付ができているだろうか?
善行の輪の中には、正直なところ、自分はあまりいません。そういう習慣も、余裕も、それほど持てていません。すぐにとはいかなくても、いずれ、そこに加われるような人間になりたいものです。

エンタメとして消費できる性質のものではないし、3時間はやはり長いし、面白いとは言えません。
ただ、その意義はやはり計り知れず、観て良かったなと、そう思います。
IT坊や

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