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シンドラーのリストのYYamadaのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.2
【戴冠!アカデミー作品賞】
 第66回 (1993-4) アカデミー7部門受賞
 (作品/監督/脚色/撮影/編集/美術/作曲)

〈見処〉
①人類が忘れてはいけない「史実」
・ときは第二次大戦の戦時下のドイツ軍の占領都市クラクフ(ポーランド)。ナチス党員の政商シンドラー(リーアム・ニーソン)は、ユダヤ人会計士とともに軍需工場の経営を始めたが、冷酷なナチス将校(レイフ・ファインズ)が近接する強制収容所長の就任に従い、ユダヤ人の殺戮が始まってゆく。
・工場で働くユダヤ人逹に危機が迫り、浪費散財に明け暮れていたシンドラーの心境は変化。政商としてナチスに便宜が図りながら「命のリスト」作成を決意…。
・ナチスによるユダヤ残虐は凄惨。命の価値がわからなくなるほど多数の人命が喪われ、鑑賞も耐えられないシーンが続く。
・終盤のナチスの敗北宣言後、シンドラーが工場を去る際、ユダヤ人たちは、1100人以上の尊い命を救った彼に指輪を送るが「もっと多くの命を救えたはず」とシンドラーが後悔する場面、誰もが感動を覚えずにはいられない。
・ラストはカラー描写の現在のシーンに移り、彼に救われた老いた実在のユダヤ人とその家族がシンドラーの墓石に集まり、リーアム・ニーソンによる献花をもって3時間超の重厚な作品が終わる。
・人類が決して忘れてはいけない記憶の保持のため、見なければならない作品がここにある。

②スピルバーグ・バッシングからの打破
・『ジョーズ』『未知との遭遇』『インディジョーズ』『E.T.』。スピルバーグは「史上最も大衆作品に秀でた監督」として高く認知されていたが、ドラマ性の高い『太陽の帝国』『カラーパープル』の評価は決して高くなく、アカデミーには無縁。
・そのような背景のなか、誰も監督したがらないリスクのある本作に対し、ユダヤ系アメリカ人として製作を決意。
・また、配給会社のユニバーサルも、ヒットが間違いない『ジュラシック・パーク』をスピルバーグが監督することを条件に、本作配給のリスクテイクに同意。映画史に残る2作が、1993年から1994にわずか半年のインターバルで公開されることになる。
・ドキュメンタリー要素を表現するため、モノクロ撮影+ライブアクションを多用。
その撮影を担ったヤヌス・カミンスキーは
スピルバーグの撮影手法に多大な影響をあたえ、本作品以降すべてのスピルバーグ監督作に参加することになる。
・誰もが認知する大監督スティーブンスピルバーグにとって、監督人生を左右する1年だったことは間違いなく、アカデミーとの劇的な「和解元年」だったと思う。

③私的解釈…なぜ作品賞に選ばれた?
・競合作は『逃亡者』『ピアノレッスン』で本作が受賞出来ない理由はない。

◆アカデミー作品賞 受賞作の中の
 本作のポジショニングは …
★★★★☆ 芸術性
★★★★★ 社会風刺・メッセージ
★★★★☆ ストーリーライン
★★★★☆ 革新性
★★★★☆ 演技・演出

★★★☆☆ 総合評価 (独断と偏見)
モノクロ描写に赤いワンピースの少女。全ての面で、素人が評価することも烏滸がましい作品。
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