ずどこんちょ

カーズのずどこんちょのレビュー・感想・評価

カーズ(2006年製作の映画)
3.5
見よう見ようと思っていてずっと後回しにしていたピクサーの名シリーズ。子供と一緒に鑑賞です。さすがピクサー。ちゃんとストーリーや設定がしっかりしてましたね。

まずキャラクターの設定が個性豊かで愛着が湧きます。フェラーリを崇拝している生粋のイタリア魂を持つタイヤ店主人が一番のお気に入りでした。ジローラモの声優もハマりすぎ。

そして何より車モチーフのキャラクターを……の設定から、高速道路ができて寂れてしまった田舎町や、客が来なくなった一昔前のお店まで設定を広げ、世界観の奥行きがすごいです。
マックィーンの成長物語であると同時に、マックィーンが寂れた田舎町「ラジエーター・スプリングス」に再び脚光を浴びる時間を取り戻してあげます。
レーサーとしてのマックィーンに感情移入するのが子供たちなら、大人たちはこっちの時代に取り残されて寂れた田舎町の復興物語に感情移入してしまうのではないでしょうか。

そしてそこには、マックィーンが憧れる伝説の「レースの帝王」が密かに穏やか暮らしをしていたわけです。
マックィーンは基本登場から自信過剰な嫌なやつで、自分の輝かしい功績は全部自分の力だと思っています。ピットクルーもすぐにクビにしてしまい、マックィーンの周りには共に優勝を目指す仲間や友人というものがいません。人使いも荒いし最低。いつか転落するタイプです。
そんなマックィーンがひょんなことからラジエーター・スプリングスに迷い込みます。輝かしい功績も名声もこの田舎町には通用しません。
そんな田舎町でマックィーンは仲間と過ごす時間の喜びを知り、そして「レースの帝王」の教訓を知って優勝だけを目指すことの無意味さを感じてしまうのです。

自信過剰でノリに乗ってる勘違いをした若手が、引退したかつての英雄から本当に大切なことを受け継ぎ、そして生き方を改める。
最後のレースの結果も、勝つことだけが人望を寄せるすべてではないという事が対比的に明らかになっていて分かりやすいです。
定番のストーリーではありますが、とても気持ち良く楽しめました。