まぴお

カーズのまぴおのレビュー・感想・評価

カーズ(2006年製作の映画)
3.0
【人間のあり方】

僕は無類のピクサー好きです。
作品がというより脚本とキャラクターへの信念に近いものに敬意を感じるからです。
そういった部分からするとジブリより好きかもしれません。

ピクサーの秀逸なところは人間という視点から物語の主人公たちの成長を
見せてくれるところです。トイ・ストーリーだとおもちゃたちと人間のつながり
ファインディング・ニモだと自分勝手な人間たちの存在。

そこには良くも悪くも人を通して観る人たちが
自分自身を見つめる物語となっているのです。


しかしこの作品には人間がでてこない。


そして奇しくも今作はピクサーとディズニーの確執の作品でもある。
ディズニー配給のピクサー最後の作品になるはずだったからだ。

今でこそピクサーのノウハウを吸収しヒット作を飛ばしているディズニーだが
このときは駄作ばかり発表しピクサーに頼らなくてはいけない状態だった。

その看板制作会社であるピクサーを手放したくなかったディズニーは
独立を目指していてたピクサーをまるごと買収する手段にでるのである。

僕はこの時、夢を語るディズニーとは裏腹な対応に心底、呆れ返った。

このことが関係しているのかはわからないが唯一僕の中でカーズシリーズの
評価点数が低い形となっている。

どうしても主人公に感情移入できなかったのだ。
作りとしてはさすがピクサーだ。つまらないわけではない。
だが面白くもないのだ。

たぶん映画ってその作品の質だけでなくその時に制作した環境であったり
その観る人の環境や心境で大きく変わってくるのだなと思わざる得ない
ものなのだなと感じる作品でした。

589本目
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