nagashing

小間使のnagashingのレビュー・感想・評価

小間使(1946年製作の映画)
3.0
古き良き伝統と慣習を維持する田舎町に滞在することになった男女と地元の住民たちのカルチャーギャップをおもしろおかしくとらえた喜劇。単発的には笑える箇所が用意されているものの、総体的にはどうしても笑いづらい。ヘレン・ウォーカー演じる進取の気性に富んだ都会の女が、保守的な未来の姑に唯々諾々と従うシーンなんてほとんどホラーだ。構成にも難ありというかエピソードの配分が乱れていて、序盤は視点も定まらないせいか、ときに主人公たちが異様なアウトサイダーとして映ってしまう。敵国民や恋敵どうしですらかろうじて笑いを共有(もしくは共作)することで連帯できるのがルビッチの描く世界だったはずなのに、価値観の多様性を謳うこの映画が打ち出しているのは、尊重という名の断絶である。その居心地の悪さといったらない。
nagashing

nagashing