ENDO

生さぬ仲のENDOのレビュー・感想・評価

生さぬ仲(1932年製作の映画)
4.0
忘れられた小説家・柳川春葉の代表作。継母と実母のどちらが真実の母なのかという王道のメロドラマ。ハリウッド帰りの裕福な女優である実母を岡田嘉子、家庭を支える貞淑な継母を筑波雪子が演じる。岡田はのちに恋人とともにソビエトへ亡命。しかしソビエトでは政治保安部に拘束。恋人は銃殺。ドラマ以上にドラマティックな苦境を強いられることになる。筑波雪子は新橋芸者から女優へ。後世から俯瞰すると波瀾万丈。映画自体が矮小化してしまう。冒頭の阿部正三郎のスリから波止場へ展開していくシーンは洗練されたコメディで素晴らしい。タバコでシーンを繋ぐシーンなど演出が良い。岡譲司が渋い。彫りが深くて経済的には逼迫しているが頼りになる兄さん。戦前の豊かな文化。三越デパートの美しさよ。
ENDO

ENDO