青二歳

創竜伝の青二歳のレビュー・感想・評価

創竜伝(1991年製作の映画)
1.7
田中芳樹原作のファンタジーOVA1〜3話を劇場公開したもの。原作未読。なんだこれは…?
一見普通のイケメン四兄弟、実は四海竜王の生まれ変わり。まずこの時点で香ばしい。そして彼らの力を利用しようとする日本の政財界のドン(鎌倉在住)の設定がすげえ。ほかの敵の設定もぶっ飛んでるし…なんだろうこれ。

【敵がなんか人外】四兄弟を利用せんとする鎌倉の御前をまず紹介したいのですが、彼はすごい。このジジイは鯉が好物。養殖の鯉ではなく、池で飼う500万円の鯉。その時点で絶対不味いのだが、身元不明の死体を購入して餌にしているらしい。倫理的にどうこうの前に非衛生的だし何よりすげえ不味そう…
この爺さんは若かりし頃、満州で特務機関を牛耳るや否や予算をちょろまかし、現地住人の財産を没収し巨万の富を築いたという設定…いやそれ無理があるしよしんば可能だとしても確実に復員時に嬲り殺されてるんでないかな。復員・引き揚げ時には中国人が掠奪のため暴徒化したので。帰国しても公職追放の対象だろうし。こういう戦中に悪いことしてた奴って昭和のフィクションによく出てくるけど、大抵リアリティがなくてパラレルワールド過ぎる。
で、なんか実はバケモノでしたっていう。うーんすごい!昔、"竜の血筋"の女を殺して血を吸ったところ、鱗が生えて強靭な肉体を手に入れたらしい。その血が足りなくなったので、四兄弟の竜の血筋から血を求めているようです。
肌色の鱗だけでなく、ボロボロ歯は牙となり、ツノまで生え、元々トンガリ気味だった耳がさらに伸び…もうキメラみたい。一体なんなんだ笑。
第3話にして末弟の竜の炎に燃やされましたけど…この鎌倉の御前、かなりの権力者なんですね。御殿場の演習場かどっかで、自衛隊に四兄弟を生きた標的として演習させるというトンデモない設定。さらにグリーンベレーまで呼んで無茶苦茶なことさせるし、誰か原作者につっこまなかったのか?というレベルの訳のわからない爺様でございました。

【あらすじが本当にヒドイ】このパラノイア爺さんが中々笑えたけど、その後の4話以降の敵はさらに意味不明に…というか…敵の目的がごちゃごちゃしてくる。壮大な割に大した事ないし。なのであらすじを追うのは早々に諦めた。
原作からこの設定なのだろうか?悪役がステレオタイプだし、主役たちは理想論というか良いことしか言わないから空疎でキャラが薄い。なんというか…アニメだから楽しめるトンデモ作品ですね。声優陣豪華だし。
小説で読む気はしないや…

【四兄弟のチートっぷりもどうかしてる】敵や彼らからの攻撃のバリエーションが増えてくると、四兄弟の反撃もすごいことになっていくので、それを楽しんでみていました。自衛隊の演習では、戦車を撃退したり、奪って運転したり…なんでもござれです。
ヘリを地上から迎撃するってなんだ?と思ったらヘリにビール瓶を手投げして墜落させちゃうんですよ。次男は事務所のスチール机を片手で投げてヘリ撃墜。「すげえな四兄弟!」の連続で笑いっぱなしでした。
しいて言えば…次男のスカした子が一番面白いかなー。鉄のスコップを手で千切れるし。
解放されて龍になっちゃったりする時点でチートなのに、人間の姿のままでもかなりのもの。おかしい。

とまれ隅々まで中々にどーかしてるトンデモアニメだった。合掌。
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