明石です

ヒューマン・キャッチャー/JEEPERS CREEPERS 2の明石ですのレビュー・感想・評価

4.3
23年間に一度、23日だけ蘇り人間を食いまくる都市伝説系モンスター映画『ジーパーズ・クリーパーズ』の続編 で、「1」の惨劇から22日後という時間設定。UFOキャッチャーみたいな要領で空から人間を捕まえて拐う怪物ゆえにこんな邦題がついた模様。アイデアに秀でてて映画を撮る技術もあるのに、物語の広げ方がおそろしくお粗末で、惜しい作品だった1作目から一転、その欠点を解消したかなりの力作になってました。

稲畑に立ててあるカカシに向かって吠える犬。不審に思った飼い主の少年が近寄ってみると、なんとそれはカカシではなく殺人鬼だった!!という相変わらずツカミが最高にアイデア溢れるこの映画。しかも殺人鬼、、に見せかけたモンスターは序盤5分の時点で翼を広げてバッサバッサと飛んでみせるので、前作にあった、物語の前半と後半の間にマリアナ海溝でも広がってるのかというような巨大なチグハグ感は感じない。

そしてその最初の犠牲者が出た直後、いかにも全員殺されそうな感じの、大騒ぎしているハイスクールの運動部員たちを乗せたスクールバスに場面は移り、何者かの罠によってタイヤがパンク。何もないところのド真ん中で立ち往生してしまう!!スピルバーグの『激突』のパク、、オマージュだった前作に対し、今度は『サランドラ』(あるいは同年公開のクライモリ)から直接着想を得たような既視感のありすぎる展開に笑。

走り去っていくバスの窓から、「1」でモンスターに殺された主人公と、序盤に連れ去られた少年の2人が、引き返せ!と必死にジェスチャーしている姿が、霊感のある少女にだけ見えるという粋な演出を経た後、怪物の投げた手裏剣が、手裏剣目線の疾走感あふれるカメラワークで写され、バスが2度目のパンク。おそらくCGなのだろうけど、もしかするとCGじゃないのではと思わせる演出面の旨さがある。そして時をおかずに大騒ぎの運動部員たちがヒューマンがキャッチされていくという物語の本筋へ。この監督、実は天才か?

今作も中盤あたりで超能力頼りの展開があるものの、前作で殺された主人公や、冒頭で連れ去られた少年がわざわざ警告を出しているという話の繋がりになっているので、そこまで安易さは感じなかった。あんな殺され方をした人間が、霊感ある子の夢に現れるならそりゃ仕方ないよねと思えてしまう。とはいえ、つい2時間だか3時間だか前に夢で見た「超能力」で、アイツには何をやっても無駄なの、私たちは殺されるのよ!23年後にまた帰ってくるの!!と力説し出すあたりは都合良いなあと思ったけど笑。怪奇!シナリオに空いた穴を埋めるべく、唐突に解説魔と化すヒロイン。

そして終盤は、冒頭で息子を拐われた農家の親父の、チャールズブロンソン顔負けの八面六臂の復讐劇に。穿孔機で怪物の脳天を串刺しにモリを突き刺しダイナミックに生け捕った後、時間軸は一気に23年後へ。ヤツが再び蘇った瞬間に、再度、より残虐な方法で復讐することを匂わせる、親父カッコ良すぎるラスト!!物語としてのカタルシスも、続編への期待感も両方確保してるこの幕引きの仕方、監督やっぱり天才か?

ここまで続編の出来が素晴らしいと、配給会社が邦題をごっそり変えて、別作品として宣伝したくなるのもわかる気がする。なんなら前作は今作のちょっと長い予告編だったのではとさえ思う笑。展開的にはそうであってもおかしくないんだけどね。「1」だけじゃ何が何だかわらない、続編の存在を前提に作られてる強気なホラー映画ってあんまり見ないから余計にそう思う。
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