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恋愛社会学のススメのKYのレビュー・感想・評価

恋愛社会学のススメ(2009年製作の映画)
3.8
マーレン・アーデ監督作。ベルリン国際映画祭銀熊賞作品。ドイツ映画。

傍からも熱烈に恋をしているカップルのように見える男女。しかし先輩に食事会に誘われそこで理想的カップルである先輩夫婦の様子を見たのを期に二人の関係が変わっていく―。

実は【非リア充カップル】が【真性リア充カップル】と交わる中で、カップルとしての敗北感を味わったりカップルの関係性にヒビが入ったりするのをネチネチした会話劇で見せる映画だった。正直、大好物な部類の作品。

個人的に面白かったのは主人公カップルそのものの絆自体がかなり強固で、あくまでもチームとして機能してる点。先輩夫婦と比べて交際相手のショボさを痛感しながらも『じゃあ別れよう』とはならない。だから女は所々でテンションがブチ切れるが、あくまでも自分たちカップルの為に行動する。

とにかく女の努力が涙ぐましい。優柔不断で臆病な男に対し、女は愛想を尽かすことなくプライドを傷つけない努力をする。先輩の奥さんみたいなメイクにしたり。しかしそれが男のプライドを傷つけてしまったり。さすが女性監督ならではの視点。

そして基本的に会話劇を地味に撮ってるんだけど、所々印象的なシーンを女にぶち込む演出も良かった。先輩妻に刃物を突きつけたり、突然窓の外に飛んだり、死んだふりをしたり。今年のカンヌ国際映画祭で新作『トニ・エルトマン』が大評判となっているらしいし次回作も楽しみだ。
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