イチロヲ

蘭光生 肉飼育のイチロヲのレビュー・感想・評価

蘭光生 肉飼育(1987年製作の映画)
4.5
診療所でセラピーを受けているセックス恐怖症の女性(小川美那子)が、セラピスト(中丸新将)のサディスティックな性的嗜好を受け入れていく。医者と患者の関係から隷属の歓びを説いている、日活ロマンポルノ。蘭光生の小説を原作に取っている。

セラピストと患者の主従が逆転してしまい、患者がセラピストをセラピーするという倒錯ドラマに突入する。「主人も隷属者に隷属している」の法則がきちんと機能しており、倒錯関係のエッセンスが盛り込まれている。

何よりも、セラピストがオラオラ系にはならずに、謙ったデスマス系のままでいるところが良い。自身の情欲と真正面に向かい合っている感覚が冴え渡っており、サドマゾの見地から「生きる活力としての性愛行為」が描かれている。

出涸らしの密室劇に留まらず、能動的に野外シーンへと切り替わるため、団鬼六ブランドとは異なる色合いの、サドマゾ劇場を堪能することができる。小川美那子の女体美も絶景かな絶景かな。
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