フジモト

1408号室のフジモトのレビュー・感想・評価

1408号室(2007年製作の映画)
3.0
「シャイニング」はキューブリック版しか知らないのであまり下手なことは言えないのですが、スティーヴン・キングは空間の持つ記憶や怨念みたいなものを描くのが好きなんだろうか?

主人公のマイクは霊的なものをまったく信じていないと言いながらも、心のどこかで本当はそういったものを信じたかった……という感じがよかった。
生者と死者の世界は隔絶されていて、だからこそ死者には二度と会えないのだけれども、世界のどこかにはその二つを繋ぐ門がたしかにある。
それはおそろしいことでもあるけれど、もういない誰かを強く思う者にとっては希望とか慰めでもあるような気がする。

同時に、異形のものに対する恐怖が、自分の過去の行いへの後悔や憎悪でもあること。
何かが潜む暗闇に目を凝らすと、自分の姿をした亡霊がこちらをじっと見ている。

スティーヴン・キングのお話はそういうあたたかみや哀しさがどこかに感じられてすき。

映像的な感想で言うと、とにかくバッドトリップ感がすごくて、いい意味で疲れた。
ただ、鮮やかな映像と重厚な音楽は気に入ったのだけど、そういう綺麗さでぼやける恐怖もあるんだなと感じた。
ホラーという点では、小説の文章から想像しながら読んでいくほうが怖がれる類の作品かもしれない。

そして中盤からジョン・キューザックがジャンポケ斉藤さんに見える邪悪な呪いにかかってしまい……
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