ぶみ

クリスティーンのぶみのレビュー・感想・評価

クリスティーン(1983年製作の映画)
4.0
クリスティーンは、誰にも殺せない。

スティーヴン・キングが上梓した同名小説を、ジョン・カーペンター監督、キース・ゴードン主演により映像化したホラー。
邪悪な意志を持つクルマが、主人公の性格を変え、人々を襲う姿を描く。
主人公となる高校生をゴードン、友人をジョン・ストックウェルが演じているほか、事件を追う刑事役として、名脇役ハリー・ディーン・スタントンが登場。
そして何より、実質の主人公とも言えるのは、クリスティーンと名付けられた赤色の1958年型プリムス・フューリー。
クリスティーンが動き回る姿は、まさに意志を持った人間のようであり、古くは『ザ・カー』や、人間が運転しているものの、その姿を見せない姿が恐怖を煽る私のベストムービー『激突!』を彷彿とさせるが、本作品の特徴は、運転手がいてもいなくても動き回ることであり、運転手である主人公の性格が変わってしまう設定も秀逸。
また、CG夜明け前とも言える時代に、ボロボロだったクリスティーンが新品に蘇っていくシーンは、見どころの一つ。
そして、監督自ら手掛ける劇伴は、これまた時代らしくシンセサイザーが鳴り響くもので、この機械的なリズムも恐怖感を倍増。
物が意志を持つというシンプルな怖さを、効果的な演出で可視化させ、最初から最後まで手を抜くことなく仕上げられたホラーの見本のような良作。

この車は女よ。
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