近藤りょうや

羊たちの沈黙の近藤りょうやのネタバレレビュー・内容・結末

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

この映画の衝撃は、二度と忘れられない。

と同時に、まだこの映画が公開される前の世界で、更なる衝撃を味わいたかった…というやり場のない気持ちも入り交じる…


1991年公開の映画で、ジョディ・フォスター演じるクラリスの視点から、FBIという男性社会で働く女性に向けられる態度、視線を描く。
ポリコレへの配慮が行き届く描写や、強い女性主人公が多く生まれている現代の映画よりも、羊たちの沈黙はずっと、現代に観るべき映画なのかもしれない…

FBIの上司はクラリスを評価しつつも、駒として利用し、自分の手柄を手に入れようとするしたたかさをもつ。

精神病棟の院長チルトンは、明らかにクラリスを異性として、下心を持って接してくる。

州警察は、自分たちよりも背の低いFBI訓練生のクラリスに、見下すような視線を送る。

そんな状況下において、クラリスの一番の理解者であり、クラリスも次第に自身のトラウマまでをも打ち明けていってしまう人物は、皮肉にも、天才精神科医であり猟奇殺人者でもある、ハンニバル・レクター博士。


ストーリーは、バッファロー・ビルという猟奇殺人者を、ハンニバル・レクター博士の力を借りながら、クラリスが追い詰めていくという展開。

ストーリーが秀逸でめちゃくちゃ面白かったです…!
サスペンスでありながら、クラリスとレクター博士のラブストーリーにも思えてくる異常作。


画としても、ヒッチコックを感じる接写の描写、クラリスの一人称視点のシークエンスなどなどで、観ていてずっと緊張感、緊迫感が付きまとう。なんて怖い映画なんだ…と思いました😱


そしてなんといっても、ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスの演技力が凄まじい。

2人の顔ドアップの会話シーンは、こちらが吸い込まれそうなくらい迫力がありました。

ジョディ・フォスター、本当に透き通るような透明感があって、その奥に潜むトラウマ、闇が感じられる目つき、表情があって、名演技すぎました。

アンソニー・ホプキンスのハンニバル・レクター博士は、この先作られたあらゆる映画のサイコパスキャラの模範になっているんですね。めちゃくちゃ既視感あるのはそのせいですね。このお方がパイオニアだったとは。。。
踊る大捜査線の小泉今日子さんとか、もうストーリー展開からそのまんまじゃん。笑
ただ、あちらはあちらで名演技で好きです😊

登場した時の佇まい、目つきで、一瞬で異常者だとわかる。めちゃくちゃ怖かった…でもかっこいいと思ってしまう一面もある。魅力的なキャラクターです。


いやー、とにかく大傑作過ぎました。観終わったあと唸りました。なぜ今まで観てこなかったか…遅いよ、俺。笑