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夜と霧のcamusonのレビュー・感想・評価

夜と霧(1955年製作の映画)
4.0
アウシュビッツ強制収容所の当時のモノクロ映像と、
10年後、緑に覆われ廃墟となった強制収容所のカラー映像を交互に切り替え、
静かな導入から始まり、徐々に惨劇が詳らかになる構成です。

新緑に覆われた強制収容所跡地は、空が抜けるように青い。

鉄条網がややぶっきらぼうであることを除けば、
至ってのどかで静かな雰囲気が漂い、
この10年前に惨劇が起きたとは想像ができません。


国破れて山河在り 城春にして草木深し
夏草や兵どもが夢の跡

廃墟と緑はノスタルジーさえ感じさせます。

なぜ人の尊厳がここまで蹂躙されたのか?
映像は、理由を語らず、その事実を突きつけるのみです。

大量の裸の死体をブルドーザーで捏ね集めるシーン。
人の形をしたものが、絡み合い、
物理演算モデルCGと見紛う粘土のような挙動を示す映像が衝撃的です。
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