映画おじいさん

三つの愛の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

三つの愛(1954年製作の映画)
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主人公の子供がその役ではなくて、どうみても「単に下手くそな子役」にしか見えないのが致命傷。初期小林正樹の真っ直ぐな感じは俳優たちによって支えられているというか、彼らによって嘘臭さが気にならなくなっていることがよく分かった。

何を狙ったのか珍しく伊藤雄之助もミスキャスト。あの神父役はちょっと酷い。
小林正樹映画は尺が長いのでハズすと最後まで観るのがなかなかの拷問だということも思い出した。

唯一良かったところは、ヒモ画家・三島耕が教会にどなりこんで伊藤雄之助神父に「今すぐ(岸恵子との)結婚式を挙げさせて欲しい!」と懇願するシーン。

君らは洗礼をしていないから決まり上、今すぐはムリだと断りつつも、キリスト教徒でもないのに何で教会で結婚式を挙げたいのか?と三島耕にたずねる伊藤雄之助神父。

そこで「ただなんとなく。貧しい私たちでも祝福してもらえるかと思って〜」と悪びれることなくヘラヘラと即答する三島耕にはキリスト教徒でなくとも相当イラッとさせられて最高。三島耕のアホっぽい喋り方が最大限に活かされた名シーンだった。

で、結局はすぐに結婚式。洗礼はしなくてよかったのかな?