三四郎

三つの愛の三四郎のレビュー・感想・評価

三つの愛(1954年製作の映画)
3.0
小林監督は真面目な真面目な実に真剣な人だったのだろう。世の中を凝視していた人のように思える。
彼の映画は、鑑賞後、考えさせられる重いテーマの厳粛な作品が多い。
大衆小説ではなく純文学を読んだ後のような余韻が残る。
平太君を最後死なせてしまうという筋が、小林監督らしいシビアさと言おうか…。
子供たちだけでいる時に、一人の子供が事故で死んでしまうということが描かれる小説や映画はたくさんあるだろうし、現実世界でも起こりやすい出来事だが、私はいつも思うのだ…事故であったとは言え、一緒にいた子供の心のキズは一生残るのではないか…と。何もできなかった、救えなかった、あるいは、事故を防げなかったことに対する自身への無力さと友人の両親に対する申し訳なさが。

岸恵子の科白が心に響いた。
「こんな苦しい世の中に、二人だけの夢を持てるっていうことだけでも、私たち幸せだと思わなければ…」
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