のりまき

スプライスののりまきのレビュー・感想・評価

スプライス(2008年製作の映画)
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雇われ科学者のカップルが会社に隠れてご法度の遺伝子研究に着手する。人間の遺伝子を使った新生物は異形の存在で、男は嫌悪するが女は子供として育てる。
人間が神に成りかわるという自分には受け入れ難い主題だが、主人公たちが迷ったり「ドレン」を少女のように描くことで傲岸不遜にはなっていない。特にキャラクターの描き方がハリウッド的な統一された人格でなく、多面的で、揺らぎ、変化してゆくのが面白い。倫理を説き、異形の生物にしり込みし、次第に慣れ、しまいには交わってしまう男。研究熱心で、母性的であるかと思えば、母になることを拒み、支配欲が強く、娘のように可愛がっていた生物を手術台に縛り付ける女。感情移入をうつろわせる手法。
ドレンのデザインは偏重しているが、あまりにグロテスクだと観客が逃げるのでこんなものではないだろうか?平凡だけど。
伏線きっちり張って嘘はなし。構成は手堅い。ジンジャーとフレッドによって未来は暗示されている。羽が生えようが、人型であろうが変わりない。
エイドリアン・ブロディの作品選び面白い。
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