大道幸之丞

スプライスの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

スプライス(2008年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

『CUBE』で一斉を風靡したナタリ監督作品。未知の生物は宇宙から来る場合もあるが、科学実験で現れる事もある。

主人公のクライヴとエルサは天才遺伝子科学者。「DNA結合」が専門。しかし同時に恋人同士でもある。脚本としてはここがミソだと思う。恋人同士なので、お互いに甘えが出たりわがままを抑えきれない。そこで物語では結局大きな代償を被ることになる。

まずDNA掛け合わせの「フレッド」が生まれる。DNA結合実験の末に誕生した、新種の生物で見た目は薄皮の巨大イモムシでもあるし、ぶっちゃけ陰茎に似ている(ナタリの人間性から言えば多分意図的に似せている)オスとメスがいて、クライヴとエルサも我が子のように可愛がる。鑑賞者はここにあまり感覚的に共感できないだろう。

遺伝子の掛け合わせでちょうどiPS細胞のように治癒に有効な細胞とタンパク質を生成しようとしているらしい。
スポンサーはニューステッド製薬。製品化と量産を「フェーズ2」と呼んでいて二人に急かしている。

クライヴとエルサにはその先の「人間とフレッドの結合」も目指しているが、キリスト教圏固有の倫理観(人を創るのは神だけに許されている)からまだ思いとどまっている。

しかしエルサが先走りし一般女性の胚が手に入ったといいだしたが実はそれは自身のものだった。果たして結合は成功し大きなオタマジャクシのような奇っ怪な生物が出来上がる。

――ここまで来て感じるのは本作は「エイリアン」のオマージュではないかと言うことだ。初期形態はフェイスハガーのようにすぐ脱皮してしまうし、狭い研究室内を暴れる姿もそれを想起させる。

その後、幼体のウチに処分してしまえばよかったのに、クライブはその度にエルサにほだされズルズルと殺す機を逃し続けてしまい。挙げ句、最初の性別はメスだった事もありキスをされ迫られたクライブは思わずドレンとセックスしてしまう(娘みたいなものじゃないのか?)これにはびっくり。
最後は今度はオスに変化したドレンにエルサは犯されてしまい。毒針でクライブは殺されてしまう。もはやすべてが手遅れになってしまう。

しかし果がなくもない。ドレンの子を身ごもったエルサは生まれるであろう生体を高額でニューステッド製薬に売ることができた。
新たなカテゴリーと言ってもいいが、規律性に欠ける科学者ほど危険なものはないなと思った次第。