むらむら

スプライスのむらむらのレビュー・感想・評価

スプライス(2008年製作の映画)
5.0
一歩間違えば「シェイプ・オブ・ウォーター」に成り得たであろう、ヘンテコSFスリラー。

本作の製作総指揮は、「シェイプ~」の監督でもあるギレルモ・デル・トロ。

「シェイプ~」は半魚人と孤独なオールドミスの純愛物語。「スプライス」は動物と人間の遺伝子操作で出来た半人半獣の怪物・ドレンと、若き科学者たちの話。

観終わったあと「どうしてこうなった……」と呟いてみたが、それはどう考えても、この倫理観ゼロのサイコパスな科学者カップルのキャラクター設定が原因。この設定を考えた人は、一度、山に籠もって根本的に映画について考え直したほうがいいように思う。

とはいえ、この科学者カップルについて書く前に、ちょっとだけ、怪物の造形のヒドさに関しても触れたい。

最初、生まれてすぐは、オタマジャクシみたいな造形なのに素早く動いて人間を襲う。これは良い。

次に出てきたら、いきなり小学生くらいの女の子が特殊メイクで出てきて「これがドレン」って紹介される。

えっ、急に予算がなくなったの? ってくらいの落差。

顔だけ、申し訳程度に奈良美智の描くキャラクターみたいにしてるけど、全然、不気味でも何でもない。

さらに、第三段階では、プロポーション抜群の大人の女性に成長。尻尾ついてたり、スキンヘッドだったりしてるけど……めっちゃ、人間。

しかも、ドレン、あんなに恐れられてたのに、女研究者エルサ(サラ・ポーリー)に「尻尾切ってやる!」って脅され、泣きながら全裸になることを強要される。よっぽど、この鬼母のエルサの方が怖いんですけど……。

なぜかここでドレンの怒りのフルヌードが披露されるが、尻尾切るために全裸にさせる必然性は全くなく、歯医者いったら分娩台のせられてる、くらい意味が分からない。このシーンは、どう考えても観客(俺)へのサービスカット。

しかも、尻尾もガッツリ切るのかと思いきや、半分くらいで止めちゃうし。トイプードルじゃないんだから、尻尾を整えてあげてどうすんだ、と思ってしまった。

エルサに劣らず、カップル研究者の男のほう、クライヴ(エイドリアン・ブロディ)もかなりブッ飛んでる。

ヌードにされたドレンのオッパイを見たクライヴは欲情。エルサが外出したのを見計らって、夜這いしてドレンをハメようとする。

えー、お前、ケモナーだったのかよ!!

何故か受け手のドレンも満更でもなく、キスとか始めちゃったりして、ケモナー狂喜のシーン開始。ここで最高潮に盛り上がったところで、エルサが帰宅。エルサは叫ぶ。

「あんた、何やってんのよ!」

そら、旦那(恋人)がケモナーだったらキレるわ……。

エルサにキレられ、ズボンをズリあげながら小屋からスタコラサッサと逃げ出すエイドリアン・ブロディ。ここ、コントのワンシーンにしか思えなかった。

このあとも超展開が続くのだが、ここまで書いて気になる方は本編を見てほしい。

途中、研究者カップルが仲違いして
「あんたの頭がオカシイ」
「いや、オカシイのはあんただ!」
っていがみ合うシーンがあるんだけど、観終わったあと「お前ら全員オカシイよ!」って叫びたくなる自分がいた。

まー、見方を変えると、両親による子供虐待の話に通じる部分もあるんだけど、あまりにヘンテコな人たちが跋扈するので、まともに見れん……。

ただ、ダレンが「ジョジョの奇妙な冒険」の究極生物カーズみたいに羽ばたくシーンがあって、ジョジョ好きの俺としてはそこだけで満足しました。誰も興味ないと思いますが俺のプロフィール欄の文章はカーズの台詞のパクりです。(注 現在は変更しました)

なので、ケモナーの人は是非みてください!
むらむら

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