Lila

メリー・ポピンズのLilaのレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
4.5
今日みたいな満月で何も考えたくない日、逃げ込む先にある、私にとって秘密基地みたいな映画です。小さい頃から数えきれないほど観てきました。60年前にもなるのか。いま見てもレトロな世界観を含めて楽しめるので、当時如何に革命的だったか想像できます。絵力が凄い。

ジュリー・アンドリュースの美しさと品が光る作品で、その一本槍で通す作品かと思いきや、周りの人たちも色濃く時代を象徴していて興味深いです。子ども達が少しホラー映画?に出てくるっぽい子どもなのは、時代もあるでしょうね。あまり愛嬌ある感じでもなく、お母さんに似てなさ過ぎて最後まで距離感凄いw

指をパチンと鳴らして片付けたかったし、鳥と歌いたかったし、宙に浮いてお茶したかったし、路上にチョークで絵を描いて飛び込みたかったし、メリーゴーランドの馬に乗って走りたかった幼少時代。とにかくファンタジーと子供の夢が詰まってます。

アニメーションの合成とか、あれが寧ろリアルに感じます。リアルなペンギンが出てきたら元も子もないw 最近の実写版に違和感を覚えるのは、メリーポピンズで育ったからかもしれません。

大人になって見ると、メリーポピンズは子供達のために来たわけではなく、お父さんお母さん含めてバンクス一家を救うために来たのだと分かります。なので、お父さんの銀行シーンがあれだけ長いんだなと理解できますが、小さい頃は、中盤長くて暗い印象で前半ばっかりリピートしてました。

風向きが変わったら去るっていうお洒落さ。時代も、お父さんの考え方も、バンクス一家も変わったから、という事でしょう。そんなメリーポピンズになりたかった。今もその夢はあるかもしれない。

最後、メリーポピンズが雲の向こうに消えていく姿は、幼少時ちょっと怖かった記憶があります。と言いますか、オープニングの風とか煙突のシーンも含めて、全体的に醸し出てる不気味さが、幼き心にはリアリティと感じてました。

サウンドオブミュージックも同時期に手がけた事を考えても、ジュリーアンドリュースは国宝ですね。

Let’s go fly kite.
Lila

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