Keruta

メリー・ポピンズのKerutaのレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
4.6
仕事が苦しい時に観ると初心を思い起こさせてくれる映画。

家族の問題、女性参政権、親としての責任等、今見返すとこの映画が内包している様々なテーマが見えてくる。
バンクス氏のように大人になると様々なものを抱え、最も大切なものが見えなくなってしまう。
仕事も大事だが、本当にそれだけなのか?
この映画はその問いにいつでも応えてくれる。

「2ペンスを鳩に」のパートでは老婆に2ペンスを渡し、鳩に餌を与えようとした子供達に対し、銀行に預けるよう大人達が迫り来る。
こうして純粋な子供の心は欲に塗れた大人たちによって汚されていく。
子供って大人の背中を見て育つから、古今東西、これは変わらないんだろうな。
これに対して、NOと応えてくれるのはポピンズだけだ。
※続編でこの2ペンスが都合の良い方向に展開が広がってしまっていたのは残念…

責任を問われ銀行に向かう終盤のバンクス氏の姿は毎回、涙ぐんでしまう。
仕事しか見えなくなってしまい、自分で自分を孤独にしていたのか。
現実逃避ではあるが、人生は仕事だけではない…それ以上に大事なことがあると考えさせられる。

言わずもがなシャーマン兄弟の音楽は素晴らしい。「チム・チム・チェリー」や「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」など
どれもTDRで聞いたことのある曲だ。

アニメーションと実写を合わせた映像はウォルト初期の作品『アリス・コメディ』を想起させ、そのマッチング度も相まって、面白い映像となっている。

ディズニー映画最高傑作だと個人的には思っている。
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