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ある子供のUnrelatedのレビュー・感想・評価

ある子供(2005年製作の映画)
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【痛みを知って、ようやく大人になる】
青年ブリュノは盗みをしながらその日暮らしをしている。
恋人ソニアとの間に子供が産まれてもその日暮らしであることには変わらず、社会人になろうとしなかった。
しかもその子供を売って大金を得てしまうのだ。

そんな彼を客観視すると、
「道徳心がなさすぎるのでは?」
「あまりに愚行なのでは?」
という気持ちになる。

しかし私は「彼に感情移入できないからこの作品を好きになれない」で終わらせるのはどうかと思う。
確かに彼はどうしようもない人間だ。
けれど「なぜ彼はどうしようもない人間なのか」を考えたときに、道徳心がないのは、あまりに愚行なのは、「子供への愛情のしかた」や「命の重さ」、「子供を失う痛み」をちゃんと理解していないところからきているのではないかと感じる。
人間誰だって無知による失敗はあるし、失敗を得て大人になっていくものだと思う。(ま、それでも彼の行動は子供以前の問題だと思うところはあるけど。)

最初一般のカップルに比べればじゃれ合う頻度が多いから彼もソニアも子供に見えた。特に彼の場合、盗みを働いている仲間が子供だということから、より子供だと感じさせる。他にソニアが子供だと感じるところとして、盗みを働くような男性と子供を作ろうと考えているところ(将来のことをちゃんと考えていないところ)が挙げられる。
そしてソニアは子供が産まれたことによって、ようやく将来を考えるようになった。(つまり母性本能によって、ソニアは大人へ一歩近づき、彼は子供のままということになると思う。)

以下のことから題名の「ある子供」は彼自身を指しているのかな?
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