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ある子供のsaeriのレビュー・感想・評価

ある子供(2005年製作の映画)
3.7
大げさな音楽もなく、ほとんど手ブレのカメラと、雑音そのままで、ドキュメンタリーのような作品

20歳のブリューノ(男)と、18歳のソニア(女)
その日暮らしの2人の間に子供が産まれた(男の子ジミー)

ブリューノは着のみ着のまま、その日暮らしの日銭しか稼げず、職業斡旋で仕事をもらうよりも子供を使って盗みを働かせて金を掠め取ったり、盗品を売ったり、家もろくになくホームレスに毛が生えたような生活を送っている
どこか投げやりで落ち着きがなく、その場その場の思いつきの言動でまだまだ幼さが残る

ある日、自分の子供まであっさりと売ってしまう。。
全く悪びれもなく、盗品を売るのと同じように
やってることは人として最低なのだが、不思議と彼に怒りが湧かないのは彼には完全に悪意がなく、純度100%のピュアだったから
ただお金がなくてお金が欲しいから売ったというシンプルな脳みそ

彼にはちゃんとした教育や愛情がまるでない世界で育ってきたというのが明らかだった
(一瞬出てきた母親がいかにもでげんなり)

当たり前だけど、人には最低ラインの教育や愛情が必要不可欠
でもその当たり前が当たり前じゃない人もたくさんいることに真正面から向き合うことのしんどさ
そんな彼を支えるソニアの気持ちを想像するとひたすら重かった。。

希望のあるようなラストだったけど、彼らを取り巻く環境が改善されるのは到底難しいと安易に想像できて、ただ憂鬱な気持ちになったのは言うまでもない
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