福井康之

about love アバウト・ラブ/関於愛(クワァンユーアイ)の福井康之のレビュー・感想・評価

4.1
日本・台湾・中国を代表する監督と俳優によるオムニバス形式の3つのラブストーリー

"東京 tokyo"
台北から東京に漫画家を目指し留学してきたヤオは、渋谷の街中で泣き顔の美智子とすれ違う。その泣き顔が脳裏に焼きついたヤオが立ち止まった一角で、店のウィンドウ内に描きかけの絵を見つける…翌日もう一度その店に絵を見にいくと青空だったはずの絵が冬の寒空のように灰色に塗り替えられていた…。

「シアワセ…デスカ?」

"台北 taipei"
夜中に眠れなくて棚を作るアスー、出来上がった棚の重さに根負けしてバーのコースターに書かれた電話番号で鉄ちゃんを呼ぶ。夜中に2人でふざけあっていたが次第にアスーの表情が曇っていく。鉄ちゃんに別れた彼氏への未練を打ち明けて、別れた彼のとこへ連れて行ってほしいとお願いするが…。

「もう時間が走ってる。だから、いつまでもひきこまずに、ナンマイダー。」

"上海 shanghai"
上海の下町へ留学してきた日本人留学生の修平は、ユンの母が営む雑貨屋の2階に部屋を借りて住むことになる。覚えたての中国語で用件を伝える修平に受験勉強中の英語を使いつつ、中国語を教えながら応じるユン。やがて修平の彼女から送られてきた絵葉書が破り捨てられているのを見つけて拾い集め文字を解読しようとするが…。

「テ・キエロ!」

言葉の壁がテーマとしてありますけど、「東京」では言葉の代わりに絵で通じ合う関係がなんかよかったです。
「台北」では中国語の四声の難しさになかなか伝わらないもどかしさと苛立ちがなんだか面白くてよかったです。
「上海」では言葉の意味を知ることで片思いの相手の気持ちや自分の気持ちに気付いていく姿がなんとも切なくてよかったです。
全話通して映像や音楽がとてもよくて、また観たくなる映画ですね。
福井康之

福井康之