Eyesworth

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のEyesworthのレビュー・感想・評価

4.9
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の1989年のイタリア・シチリア島の田舎で育った1人の「映画」に魅せられた男の生涯を描いたヒューマン映画の傑作のボリュームたっぷりの3時間版。

現代から始まり、回想の少年トト(サルバトーレ)と映画館シネマ・パラダイスとの衝撃の出会い、そこの映写技師のおじさんアルフレードとの間に芽生えた不思議な友情。成長した青年期のサルバトーレとエレナとの間に芽生えた恋愛とその末路。そしてまた現代に戻り、アルフレードの訃報を聞いて、サルバトーレは故郷に戻り、そこで初めて明かされた過去の真実…。

一直線に時代が様変わりして、あのシネマ・パラダイスもニュー・シネマ・パラダイス
へと姿を変え、その映画館もやがて姿を消す。
この作品はサルバトーレと3人の物語である。サルバトーレとアルフレードの友情譚であり、次にサルバトーレとエレナの恋愛譚であり、最後にサルバトーレとニューシネマパラダイスひいては映画との冒険譚である。
サルバトーレの成長の傍には常に映画という存在があったし、大事なことはすべて映画館で学んだ。青年にとって学校よりも大切で有意義な時間と空間を与えてくれたニュー・シネマ・パラダイスの存在は計り知れない価値をもっていた。アルフレードのあの嘘が人生を大きく揺り動かし、そのためにエレナとの恋愛もひと時のロマンスに終わってしまったが、結果的に彼の人生はそれで素晴らしいものになったのだから、アルフレードは正しい先見の明を持っていたのだろう。

前半の母や先生の体罰シーンや性描写は今ではアウトだろうが、昔の話なのでご愛嬌。
そしてエンニオ・モリコーネの音楽の力が作品の強みとなっており、所々で流れるBGMが心情やシチリアの風景にマッチしており、振り返った時に素敵な作品だったなと思える要因となっている。映画好きなら間違いなくエモーショナルな気分に浸れるのでハマるのもわかる。短い2時間版の方も見てみたい。
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