やっち88

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のやっち88のレビュー・感想・評価

4.3
通常版と完全オリジナル版どっちを見るか迷ったけど、とりあえずオリジナルという言葉に負けこちらを鑑賞。

母の言った通り、トトの変わらぬ想いは時に愚直で時に繊細で、時に正しく時に間違いなのかもしれない。映画が好きなトトの夢を叶えてあげたいという親心からアルフレードは残酷な嘘をつく。エレナと結ばれることより、トトの夢を応援したかったアルフレードだったけど、それが正しいのかはやっぱり分からない。

街を忘れ、家族を忘れ、アルフレードを忘れることによって、自分の好きだった映画で大成功し、アルフレードとの故郷には戻らないという約束を守り続けたトトは本当に凄いなと思う。初めは逃げだったかもしれないが、そこからは逃げずにずっと向き合い続け、最後には少しまぼろしを追いかけ、朝がきて陽の光が差し、夢から覚める。そんな素敵な映画だった。

エレナが幸せな家庭を築いてるのなかなかにリアルで悲しかったな。でも、普通待ち続けれないし、きっとトトの方が異常なんだろうなと。再会後もエレナにとっては「過去」「素敵な夢」のように、もう終わったこととして話しているが、トトは今現在進行形でやり直そうとしてるの本当に切なかった。

最後のアルフレードからのフィルム。泣いちゃうよーーー、こんなフィルムなのに。笑
禁止されてたキスシーンや少しえっちなシーンをトトのために詰め合わせたんだろうなと思うと、本当に愛を感じるし、アルフレードは親友のようで父親のような人を象徴してるようなシーンだった。笑えるんだけど、泣ける、不思議なシーンだ。

やはり、音楽をじっくり聞かせてくれる映画は素晴らしいなと再確認させられた。最近の映画はセリフを詰め込みすぎている。聞くのだ。心を揺らすのだ。そこから感じとり、一つ、また一つと踏み出してゆくのだ。それこそが映画であり、人生であると思う。

誰も憎めないし、なんなら全員愛している。ハッピーエンドでは無いかもしれないけど、これで良かったんだとも思えるんだ、不思議な映画。
やっち88

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