粗大

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版の粗大のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

映画を愛し生き映画のために犠牲も払った二人の男の人生の物語
ストーリーとして激しい面白さはないが見入ってしまう魅力があり、美しく沁みる間違いない傑作
本当に美しい音楽
映画を愛する人は見て損はない



激しい起承転結はないけどそれが自分の人生と重ねやすくさせる
淡々と現実的な悲劇が描かれたりはするが、全体としては映写技師の老人と少年の人生を追っていき、終始温かく微笑ましい空気感で進むので見やすい
アルフレードがトトの顔を撫でているうちに時間経過し青年期トトに変わる表現は見事だった
性的表現はままあるがお笑いチックに描かれている
幼年期トトとアルフレードの映画を見ての笑みが心に残る、純粋な幸せと喜び
ただ映画を見てだけでなく、他の観客の表情や映画に携わることへの好奇心や歓びも含んだ顔が共感と忘れていた感情への郷愁も抱かせる
色んな映画で何度も書いてる気がするがやはりこの時代の映画の音楽と音質は素晴らしい
この映画の音楽は懐かしくも切ない、今はない何かを求める夢のような雰囲気で心惹かれる
この映画は白飛びや線等フィルムの質感も良い

帰ってくるなと言いつけを守り、アルフレードの葬式に年老いたトトが帰ってくる最初と最後の繋がりは綺麗
時の流れの儚さと町の映画を支えたアルフレードの人望を感じる
サブスクが主になりつつあり映画館が衰退し始めている今もこの寂しさのような空気感を感じられると同時に、このときから今になってもなくなってない訳だから大丈夫という希望も抱ける、トトやアルフレードのように映画を愛する人が支えないといけないな

教父さんのように小うるさそうに見えても結局は自分のことを思ってくれていた描写もあり、やはり優しい映画だと思った
潰れたニュー・シネマ・パラダイス、それを見つめるトトにノスタルジーと、古都や廃墟に感じられる衰退の美を感じた
年取ってからわかる親の気遣いや優しさに気づく描写と母の目の優しさも沁みた
初恋の忘れ難さの甘酸っぱさ、トトの年になると酸っぱさがほとんどかもしれないけど
人の縁の奇妙なことよ、恋はタイミングとはよく言ったものだ、現実の恋の残酷さも克明に描いている
老いらくして結実する恋と恋でしかなく時が愛にはなることを許さない儚い関係

トトは映画監督になってたんだな
映画監督になった彼が本当に見たかったもの、最後に見たものは、幼い頃禁止され、おとなになってついぞ見つけられなかった恋、愛、キスシーンだと言うのが良かった

エレナ(アニェーゼ・ナーノ)綺麗すぎる
トトの母親も独自の綺麗さがある
粗大

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