[苦しむポパイ刑事]
あまり観るべき所がなかった。
唯一の肝が、ジーン・ハックマンのポパイ刑事が苦しむ所。何とかその苦しさから逃れようとして、マルセイユのバルテルミー刑事にプロ野球の話をするのだが、フランス人だから、野球のことなど知るわけなく、全然通じなくて、葛藤する所が何とも言えずにいい。
執拗に敵を追い詰めて行く「フレンチコネクション1」と違って、こちらは、何もかも通じず、うまくいかない。その葛藤を、ジーン・ハックマンが、観ているこちらが嫌になる位にやってくれるのが良かった。
ジョン・フランケンハイマーの撮り方は、人物に近寄り過ぎて、やや単調に思える。ウィリアム・フリードキンの前回の突き放した撮り方の方が、かえって迫力があったように思える。ただ、ジーン・ハックマンがシャルニエ(フェルナン・ドレイ)を走って追いかける時の息遣いが聞こえてくるのは、なかなか良かった。(2019.8.25)