リプリー

ウディ・アレンの重罪と軽罪のリプリーのレビュー・感想・評価

4.8
学生時代、本作を初めて見た時はかなりの衝撃で打ちのめされたのを覚えている。さらに監督のインタビューも読み、彼の人生観に痛く共感し、何度も見直したものだ。

今久しぶりに見ても、ウディ・アレン監督が絶えず発信し続けている人生観、シリアスなテーマとコミカルさのバランス含め、ウディ・アレン監督作品の一つの到達点だと確信した。
目というメタファの扱い方、幸福とは何か、人生における宗教の立ち位置、成功、失敗、そして重罪と軽罪…あらゆるものが凝縮されている。
その濃密さ故、ウディ・アレン作品を見たことがない人には勧めにくいのも事実だが、映画としても回想シーンを段階的に入れ込んだり、内省的な描写を大胆な方法で描くなど、映像的にもなかなか凝られていて面白い。

あと、学生時代はレスター憎し!と思っていたが、アレン監督は結構フラットな目線で描いていたのだと今見ると思える。でもあのラストは切なすぎる…でも最高に好きなんだけど。