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ウディ・アレンの重罪と軽罪のzhenli13のレビュー・感想・評価

4.0
予想外に面白かった。マーティン・ランドーとウディ・アレンそれぞれユダヤ系コミュニティに属しており、近いのに出会うことなく進行するそれぞれの物語という構成の妙。ランドーが「重罪」によってそれまで忌避していたユダヤ教の教えに強く縛られていき、少年時代の幻と対話するあたりはなるほど『野いちご』なのか。
ウディが姪をしょっちゅう連れ回して30〜40年代あたりの映画を観に行くのとか、ユダヤ系コミュニティの結婚パーティのシーンにときどきインサートされる幼い金髪の幼女たちなど、プライベートでの当時のウディの心境をもろに反映しているような…

ウディ・アレンとミア・ファローが16ミリフィルムで『雨に唄えば』を観ながらデリバリーのインド料理を食べる短いシーンと、ラストのモノローグとともに回想的に各シーンがコラージュされる中にムッソリーニの演説も入ってるのが何故だかじんわりしてしまった。

スヴェン・ニクヴィスト撮影監督とのことで、晩秋の西陽が暮れる瞬間のような白熱灯にほつりと照らされたような色味が美しい。
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