カタパルトスープレックス

学生ロマンス 若き日のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

学生ロマンス 若き日(1929年製作の映画)
3.2
小津安二郎監督のフィルムが現存する一番古い作品です。サイレント作品。U-NEXTでは活弁も音楽もなし。マジでサイレント。若干つらいが、無音でも最後まで観れなくはない。

基本的にはラブコメディなので、特にテーマらしいテーマはなし。強いて言えば小津版『私をスキーに連れてって』😂な感じ。ストーリーは非常に単純。二人の大学生、渡辺(結城一郎)と山本(斎藤達雄)が女学生の千恵子(松井潤子)に恋をする話。戦後の小津作品のような古き良き日本は描かれていない。とてもモダンな大学生生活。部屋着は和服、外出は洋服。その両方がとてもオシャレなんですよねえ。後年の「小津好み」は和服によく現れていましたが、初期の「小津好み」は洋風でとてもハイカラ。小物に「好み」がよく現れているのは初期からそうだったんですね。

本作に歴史的な価値は積極的に認めるものの、マニア向けの一作だと思います。他に観るべき小津作品はもっとたくさんある。メインどころを全て観終わって、もう観るものもないから最初から観てやろうか。そんな感じで接するような作品だと思います。