菩薩

光る女の菩薩のレビュー・感想・評価

光る女(1987年製作の映画)
3.6
確か5年前くらいにフィルセンでかかった時に休みだったのに京橋まで行くのダルい…との理由だけで行かなかったら後々後悔し過ぎてゲロ吐きそうになったのでようやく観られて感慨深い物があるが、予想以上に怪作で珍作だったもので正式に困惑している。途中何度か冷静に自分は今何を観ているんだろう…と頭を抱えそうになったが、結局最後まで自分が何を観ているかはよく分からなかった。言うなればまぁキングコングなのだろうしそこにフェリーリやら寺山が加わるいつものテイストなのだろうが、突然水のない例のプールでおせっせが始まったと思ったら、バス人体発火爆発が発生したりと説明のつかない事しか起きない、そもそも裸足の武藤がゴミ山を歩いてたら粗大ゴミの山の上で秋吉がオペラしてる最初から説明不能なのだが…。街中のシーンはゲリラなのか通行人が武藤に冷ややかな視線を浴びせているし、コンサートシーンはちゃんとしたエキストラなのか主演二人より演技らしい演技をしている。主演二人は終始台詞カタカナなんかっ?とツッコミを入れたくなる程のカチカチ棒読みで、ごっつええ感じの「産ませてよ」ばりに辿々しいのだが、いざ運動が始まると一転して流石の武藤である。電話のシーンではいとも容易く時空を超えるし、しかも塩田千春より前に塩田千春みたいな美術をしている、秋吉が武藤を探しにいく際の謎の廃屋は小林正樹の『怪談』ぽい。理解も想像も超えた先に突如広がるユートピア、ここでようやく冒頭のゴミ山がこのラストシーンの裏返しである事に気付く。にしても武藤のケツがめちゃくちゃ綺麗だ、これを観て「『光る女』を成功させる会」の人達が何を思ったのか知りたい。
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