第一次世界大戦が膠着状態の中、ストレスから酒に走る隊長と、そこに配属された恋人の弟。
戦闘シーンより室内でのやり取りが多め。
戦死した仲間を悼む暇もなく時が過ぎてゆくのが余計に悲しい。

ロバート･C･シェリフによる戯曲『Journey's End』の舞台化を手掛けていたジェームズ･ホエールが映画化にも乗り出しこれが記念すべきデビュー作に。
100m先のドイツ軍と対峙する死と隣り合わせの最前線、派手な戦闘シーンを用いず塹壕内での会話劇によって「戦争を終わらせるための戦争」という大義名分に首を大きく横に振っていく意思表示。単に予算不足であったり、舞台劇からの脚色を拒んだ線も捨てきれないがこれはこれでプラスに働いていると思う。
四六時中画面外から砲撃音が鳴り続ける神経衰弱演出は同年製作の『西部戦線異状なし』との近親性も強く感じさせる

戦争とは何か。
戦争を題材にしている戯曲、映画を見るたびに感じずにはいられない。
派手なハリウッド映画仕立てよりもヨーロッパ、イギリスの淡々とした表現にこそ戦争を美化しない何かを感じる。