うにたべたい

クローバーフィールド/HAKAISHAのうにたべたいのレビュー・感想・評価

4.2
クローバーフィールドシリーズ1作目。
POV方式で撮影されたモキュメンタリー作品。
1台の個人所有のビデオカメラで撮影された映像という形式になっており、そのため手ブレが激しく、端的に言えば酔います。
すごく面白かったのでつい通しで見てしまったのですが、もともと三半規管の弱い方なので、見終わった後で容赦なく気分が悪くなり熱まで出ました。
途中で無理かもって思ったんですけどねー、止め所が分からず、酔いやすい方は無理は禁物です。

最初に、この映像自体が"国防省で保管している記録映像である"旨のテロップが表示されます。
仲の良いカップルの一日を映したテープに上書きされる形で録画された映像の様子で、カメラの持ち主は「ロブ」。
この映像は基本的にロブの動きを追ったものになってます。
映像が切り替わりロブの日本への栄転を祝うパーティーから始まるのですが、その最中、巨大な振動が発生します。
ビルの屋上から音のした方を見てみると、炎に包まれたNYと爆発で飛ばされたビルの破片が降り注ぎ、ビルの外に飛び出すと、飛ばされてきた自由の女神の頭部が降ってきて、街はパニック状態になっています。
また、遠くには巨大な謎の生き物の姿が見えます。
慌ててマンハッタン島から脱出をしようとするのですが、ロブの元に助けを求めるベスから電話があり、ロブたちはベスの元へ助けに向かいます。

巨大な怪物が出てくるのですが、この怪物は作中退治されません。
スポットは足元の人々にあたっており、怪物については発生経緯、特徴、そもそも何体いるのかなど説明は無く、怪物が現れたNYのいち市民の目線で語られるモキュメンタリーとなっているのが特徴です。
現在進行形で、怪物が現れた街の人々にそんな情報は伝わるすべもなく、ただ生き残ることに必至です。
訳の分からないまま破壊され、蹂躙される日常の風景は、非常に怪獣映画らしくて良かったです。
なお、カメラ役はほとんどのシーンで「ハッド」という男が務めています。
このハッドがなかなか憎めない男で、いらないことを言ってたしなめられるシーンが多々あるのですが、この男のおかげで絶望的なのにどこか楽しい作品になっていると感じました。

ストーリーはとても良かったのですが、怪物の造形は酷いです。
ひょろひょろしていて脅威が感じられず、何よりカッコよくない。
本作のサブタイトルは"HAKAISHA"なのですが、このダサいサブタイトルにピッタリな残念デザインなので、個人的には"大怪獣東京に現わる"みたいに、いっそスクリーンに映さない方が良かったのではと思いました。
比較的低予算でかなり迫力ある映像となっているのにこの怪物はもったいないです。
もうちょっとまともに"怪獣"にしてくれたら名作になったのではないかと思います。

なお、本作中では"放射能X"、"キングコング"、"原子怪獣現わる"の映像が隠されているそうなのですが、どこだか分からなかったです。
画面がブレるタイミングのようなのですが、いかんせん酔っていたため探すのも大変で見つけられなかったです。
ラストの隠れたあれも、繰り返し見たけど分からなかった。
分かった人はよく見つけられたものだと感心します。