皿鉢小鉢てんりしんり

ギャング・オブ・ニューヨークの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

3.4
「グッドフェローズ」で発明した、長期間の出来事を、面白い場面だけ超スピードで繋ぎ合わせてポップミュージックで流し込む画期的スタイル。同じ手法で今度は19世紀末NYギャング抗争に横展開だ、という狙いなのだろうけど、これが食い合わせが悪く、妙なダイジェスト感だけが引っかかるシロモノになってしまった……
いくら同じギャング映画だろと言ったって、やっぱ19世紀末は“史劇”だし、“史劇”は“史劇”なりの重厚感がないと収まりが悪い……「グッドフェローズ」スタイルで、という企画自体があまりよろしくないように思う。
もちろんダニエル・デイ・ルイスはいつものキチガイメソッド演技にどっぷりなので、強烈なキャラクターを眺めているだけでそれなりの面白さは保証されるわけだが。ナイフで自分の義眼をカンカン叩いてみせるところとか、単に暴れてるだけじゃなくて、ちゃんと動きの引き出しがあるなぁ、と感心した。ナイフ投げシーンの異様な緊張感は突出している。
あと終盤のカオス描写、戦艦まで繰り出して砲撃されるけど絶対「戦艦ポチョムキン」意識してると思う。無意味なライオン彫刻へのアップとかもあるし。