三樹夫

ギャング・オブ・ニューヨークの三樹夫のレビュー・感想・評価

3.1
様々なギャング勢力がしのぎを削る19世紀のニューヨーク。父親をダニエル・デイ=ルイスに殺されたデカプーが、ダニエル・デイ=ルイスのグループに入り込み復讐を狙うというニューヨークギャング大河ドラマ。頭おかしい奴が大量に出てくるという、19世紀ニューヨーク版ウォリアーズやマッドマックス感がある。
復讐を誓いながらもダニエル・デイ=ルイスが第二の父となるが、それでも最終決戦へという復讐ものの王道を行くストーリーではあるのだが変な映画となっている。本編2時間45分あるが2時間経ってやっとデカプーがダニエル・デイ=ルイスにボコられ決戦へと突き進んでいくのだが、時間配分どうなってるのというぐらい残りの45分は駆け足気味。頭おかしい人が大量に跋扈し何もかもが無茶苦茶な19世紀のニューヨークを描くのが楽し過ぎたのかな。

お前らも移民の子孫だろと誰もが思うネイティブ・アメリカンを自称する移民排斥のダニエル・デイ=ルイス軍団と移民連合のデカプー軍団の対決という現代アメリカのメタファーにもなっているが、デカプー陣営も思いっきり不正選挙をしていて笑ってしまった。削いだ耳を代金に酒のむ女バーサーカーとか、映画の作り自体は一大大河ドラマなのだが、今の何それが頻発し登場人物は頭おかしいと変な映画である。
ダニエル・デイ=ルイスのビルは、延々ナイフ投げをするシーンで本当にこいつ嫌な奴だなとなる。相川らずスコセッシは絶対に関わりたくないと思わせる奴の演出がキレキレだ。あのベッタリヘアーは印象に残る。

この映画でスコセッシとデカプーが初コンビになるが、そういえばデカプーって昔はチャラチャラしたいけ好かないアイドルみたいな感じで嫌われてたな。90年代の雑誌とか読むと、取り巻き連れてクラブでイキってたみたいな記事もあるし。本人も昔は好感度とか気にしてなかったところもあったみたいだが。この映画ぐらいが転換点となるのかな。以降の出演作を見ると出る映画選んでるなというフィルモグラフィー。
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