いしはらしんすけ

ギャング・オブ・ニューヨークのいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

3.7
19世紀のニューヨークにおけるアイルランド移民を中心とする抗争や南北戦争を巡る世相を描いたスコセッシによる歴史大作。

カイテル、デニーロに続いてディカプリオが看板としてスコセッシ組入りした1作で、まだレオ様なんつってアイドル扱いされてた時期だからか、演技はともかくちょっと汚しが足りない(特に一回負けて顔ジューやられた後の顔貌はさすがに不自然)印象。

一方、こちらも当時人気絶頂だったキャメロン・ディアスはなかなかの体当たりっぷり。ここ10年ほど表舞台から遠ざかっているだけに改めて「いい俳優だなぁ」なんて思ったりしました。

まあでも一番目立ってんのはダニエル・デイ=ルイスのヴィラン演技で、スコセッシ映画だとこういうクレイジーな役柄が持ってっちゃうのは致し方ないところ。

同じくスコセッシ作品としてはお馴染みのテーマである暴力の連鎖の虚無が幾分いつもよりシリアスに響く終盤には、9・11の影響が残る時代性が感じ取れる。

そこを引き取る形で流れるU2の主題歌はヒットこそしなかったもののさすがに良い曲。

モブシーンの迫力を担保する物量攻撃など、熱くゴージャスなエネルギーが堪能できる実のある大作か、と。