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ギャング・オブ・ニューヨークのsyuheiのレビュー・感想・評価

3.5
2001年のマーティン・スコセッシ監督作品。公開時ミシガンの映画館で観て以来や。

19世紀中頃、ロウアー・マンハッタンのファイブ・ポインツでアイルランド移民とWASP住人たちが血で血を洗う熾烈な暴力闘争を繰り広げていた。移民グループのリーダーで父のヴァロン神父をビル・ザ・ブッチャーに殺されたアムステルダムは長じて彼の下で働きながら復讐を企むが同じ女を愛してしまう。

復讐に生きる若者アムステルダムをディカプリオ、恐るべき殺し屋兼肉屋のビル・ザ・ブッチャーをダニエル・デイ=ルイスが演じるバイオレントアクション。19世紀半ばの野蛮さが残るマンハッタンを大規模なセットで再現した意欲作… なんだけど残念ながら他のスコセッシ作品と比してあまり面白くない。

その理由は明らかでディカプリオ演じる主人公のアムステルダムが助演のダニエル・デイ=ルイス演じるビル・ザ・ブッチャーに完全に喰われているから。キャラクターの造形、セリフ、立ち居振る舞い、どれを取ってもこの映画で最も輝いているのはビルだ。彼の物語にすればもっと面白くなったと思う。

本作のバトルを特徴づけるのは銃弾や砲弾ではなく刃物。その切れ味の鋭さ、痛さが想像されて印象に残る。チャンバラ映画にも通じる刃物による決闘の時代は、しかし、ラストバトルでは銃の時代へと取って代わられる。このあたりの切なさも武士道モノを思わせる。ビルの投げナイフシーンにもハラハラ。

本作は確か9/11のテロで公開が延期になった。ラストシーン、現在のNYCの風景の中にツインタワーが映る。崩れる1ヶ月前にちょうどここを妹と訪れていて、シアターで本作を観ながら「今はもうこの景色とちゃうんやなぁ」と寂しい気持ちになったことを思い出した。

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