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アンタッチャブルのGTのレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.2
 禁酒法時代のアメリカにて裏社会を牛耳るギャング、アル・カポネと、それを逮捕しようと奔走する連邦捜査官チーム「アンタッチャブルズ」の戦いを描く。
 娯楽に振り切った作品で、難しい事はあまり考えずに見ることができる。汚職に塗れた警察、捜査の手を阻む刺客、仲間の死、そして命懸けの銃撃戦。困難を乗り越えた先の、華々しい勝利。物語を面白くする工夫が随所に仕込まれており、20年代アメリカファッションはいちいちカッコよくコートを着て並んで歩いてるだけで絵になるし、緊張感や興奮を高めるようなカメラワーク(一人称視点や長回し)や演出(乳母車を庇いながらの銃撃戦。おそらく「オデッサの階段」のパロディ?)が目白押しだし、音楽も中々に良い。オープニング曲の時点でカッコよく、初っ端からがっちりとこちらの心を掴んできてくれる。
 娯楽性に重きを置いた分、話の深みは正直ない。敵役のアル・カポネは本当にただの悪役という感じで、人間的な魅力は一切無い。アル・カポネのようなギャングが暗躍していたのは、そもそも連邦が禁酒法を施行し、「酒を飲む」という人間なら誰しもがする行為を禁止したためであり、カポネに感謝していた人間も大勢いたはずなのだが、そうした側面には残念ながらあまり目が向けられることはない。「パトロールしてるだけのおっさんがなんでいきなり捜査メンバーの主力になるんだよ!」とか「職務でもないのに人殺しちゃったよ!」とか、よくよく考えたらおかしい所も多いが、それをツッコむのは野暮というものか。
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