フライ

キリング・フィールドのフライのレビュー・感想・評価

キリング・フィールド(1984年製作の映画)
4.2
カンボジア内戦で起きた悲劇をアメリカ人のNYタイムズ記者と、ガイドのカンボジア人通訳を通して見せる悲惨なストーリー。本作は実話と言うのがとても興味深いし、初めて観た時感動し、親に隠れて涙したのを未だに思い出してしまう衝撃的な映画。

ベトナム戦争でアメリカ軍が行った、カンボジアへの非道を伝える為、アメリカ人記者達のシドニーと、カンボジア人ガイドのプランの命懸けの取材と、拡大して行くカンボジア内戦により悲惨な状況に追い込まれて行くヒューマン映画。
カンボジア兵やプランの緊迫したクメール語でのやり取りは、翻訳されておらず何を言っているのか分からないだけに、危機迫る緊張感が作品を盛り上げていたのが良かった。
カンボジア人故に、プランの追い込まれて行く悲惨な状況は、歴史や背景を知れば知る程、感情移入してしまうし、辛く感じた。特にプランを救う為の、パスポート偽造に関わるシーンは必見。

カンボジアの歴史や、ポル・ポト政権についてある程度知っていると、本作内容はかなり興味深く鑑賞出来るし、知らないのであれば近代で起きた悲劇的な出来事でも有るので、知って損は無いと思える映画。

この映画を観ると強い憤りで、アメリカや政治家批判をしたくなるが…兎に角胸糞悪さを覚える事実でもあるが、プランが生きていた事への奇跡は感動するし、当時のカンボジアの悲劇を伝える生き証人として、無惨に殺された人達の恨みと、ポル・ポト政権の残虐非道な行為を伝えてくれた事に、尊敬の念を禁じえない作品でもある。

昔は全く思わなかったが、いくつかのシーンで流れる音楽に、違和感を感じてしまったのは少し残念。
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