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カスパー・ハウザーの謎ののんchanのレビュー・感想・評価

カスパー・ハウザーの謎(1974年製作の映画)
3.8
フランソワ・トリュフォー監督の『野生の少年』という18世紀に森で発見された少年の成長を見守る博士の話に感銘して、その時からこの作品も気になっていました。

ヴェルナー・ヘルツォーク監督は1作しか観ていないけど、それがハマらず、ずっと遠退いていたのですが、近々、ニコケイ主役の監督作品を観る予定なので、その前にこちらを思い出しました。


19世紀、ドイツのニュルンベルクで身元も素性も不明の孤児が実在していた。16歳まで地下牢に幽閉されて育ち、パンと水は寝ている間に与えられていたらしい。
言葉も話せず、鎖に繋がれていたので歩くことさえ出来ず人間と言う認識がない。
ある日、保護され教育され、高い知能を発揮していくという実話の映画化。


名前はカスパー・ハウザーと付けられ、ある教授の家で少しづつ教育を受けるのだが、教授も世話するお手伝いさんも良い人で、他にも出てくる家族たちが皆善人だったのが救われた。
ピアノも上手く弾けるようになる🎵

しかし、数年後、過去の地下牢生活と比べて今は?との質問に『(穴倉は)外よりはマシ』と呟くハウザーに、なんとも胸が押し潰されるような気持ちになりました。

演じたブルーノ・Sの生い立ちは幼少期に虐待され、知的障害者施設で23年間を過ごしたそうです。不憫で重なる部分があり、ピッタリのキャストでした。

全く風変わりな作風ではなく、実話のドキュメンタリーを観ているようでした。
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