初のヴェルナー・ヘルツォーク作品
17世紀のドイツの街に突然現れた男性。身元不明で手紙にはカスパー・ハウザーであると書かれていた。ほとんど読み書きできず、会話もできない…。そんなカスパー・ハウザーは少しずつ社交性を持ち、勉学に励み世の中のことを理解していくのだが…。
トリュフォーの『野生の少年』やリンチの『エレファント・マン』そしてランティモスの『哀れなるものたち』に通じる無知なる者が、世界を知って他者と繋がる物語です。
カスパー・ハウザーが語学を覚えるくだりがかなり省略されていて、いきなり話せるようになっていて、その経過がなく残念でしたが、彼の謎がそのまま解消されることなく終わってしまったのが良くも悪くも印象に残る。
ただ、彼はたくさんの人に愛され、愛したのだと分かるし、密室に閉じ込められていた半生よりも重要なことを知って生きたのだと思う。
何よりカスパー・ハウザー役のブルーノ・Sの存在感が凄い。あの目!!!何だか人間ではないようです…。