Mariko

ニンゲン合格のMarikoのレビュー・感想・評価

ニンゲン合格(1999年製作の映画)
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よく知らずになんとなく観たら、中身は14歳の青年24歳という物凄く複雑なキャラクターの、ふわふわゆらゆらとした存在を西島秀俊(当時おそらく28歳)が見事に体現してた。あらゆる立ち居振る舞いに、その失われた10年間を埋めようとするわけでもなくただそこに漂うように存在しようとする彼のアンバランスさが現れてる。いろいろと展開やプロットが不自然というか謎なんだけど、本人の未だに自分のいるここが現実なのかどうなのかわからない感覚をこちらも共有していると思うと妙に納得できて、「そろそろ目覚まさないと」っていうセリフには思わず息をのんだし、最後の「オレ、存在してた?」はその台詞だけでこの作品を観た意味があったとまで思えた。

あと、個人的には半ズボンの西島秀俊(しかも声は現在と全く変わらず)の中二っぽさ全開の全力疾走や全力で抵抗する姿を見られるだけで眼福という側面もあったり(笑)。

それにしてもいろんな描き方が私にはフィットしないなーと思って最後まで観たら、監督脚本が黒沢清だった。なるほど!
黒沢清、その個性とか表現力とかいろいろ凄いとは思いつつ、どうも苦手なんだよね、を再認識することとなった。

ジャケットに書かれてる英語タイトル "License to live" の方が内容に合ってる気がするけど、まあ太宰に引っ掛けたかったんだろうな。
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