大橋直樹

ニンゲン合格の大橋直樹のレビュー・感想・評価

ニンゲン合格(1999年製作の映画)
3.8
何が人間たらしめるのかという話だと思う
中学からの10年間を事故による昏睡状態で失ってしまっている主人公
そこから奇跡的に目覚めるけども家族は散り散りで生きるアテもない状況
実家に戻ると父の旧友が釣り堀屋を営んでいて敷地の中にゴミ山が積もってる
そこからその家を中心に変化して最後に元に戻るまでの映画
なんかちょっと生きる事に絶望的な感覚があるというか
中学の時に死んでも老いてから死んでも残るものは悲しみだけなのかと思うとなんで苦しみながら生きてるのか分からなくなりますね
菅田さん演じる父親がいろいろあってテレビの取材を受けるシーンがあってそれを家族で観るシーンが結構面白い
いかにもお父さんのインタビューって感じのリアルな喋り方が微笑ましい
西島さん演じる主人公はもうずーっと子供のようで亡霊のようで心がないようで寂しそうでもあって
西島さんの抜きの演技はやはり色々な事を想像させてくれて素晴らしいです
序盤は主人公がガーッと役所さんに引っ張られて無理やり何かを経験させられて
中盤は大切な人達と失った10年間を取り戻すかのようなあったかくろくでもなく大事な気がする時間を見せられ
それらを終盤で画的に破壊していく
これはフィクションですよと言わんばかり
もう死んだと思っていた奴がフラーっと現れて去っていくまでの話なので西部劇的ニュアンスを現代日本でやりたかったのかなぁとか想像します
絶望感が身体に染み渡ってます、そういう映画です
大橋直樹

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