半兵衛

戦場のガンマンの半兵衛のレビュー・感想・評価

戦場のガンマン(1968年製作の映画)
3.6
タイトルこそマカロニ・ウェスタンっぽい映画だが、実際はガンマンなぞ一ミリも登場しない第二次世界大戦下のドイツを舞台にしたマカロニ・ミリタリー。しかもイタリアが製作しているのに何故か主要人物がアメリカ人で、白人の区別があまりつかない私ですらイタリア人が無理やりアメリカ人に扮して頑張っている感じがひしひしと伝わって思わず苦笑する。

前年に作られた『特攻大作戦』の影響をかなり受けているようで、ドイツへの潜入の指令を受けたチームが訓練を経て、数々の犠牲を出しながら作戦を実行するという大まかな流れは一緒。ただギスギスしていたならず者たちが徐々に結束を深めていくというドラマがあった『特攻~』に比べると、こちらは序盤からマカロニ・ウェスタンっぽい音楽にのびのびとした訓練風景、そしてユーモアに満ちた会話と陽性な雰囲気が流れ、ゆるゆるな気分になる。しかも特殊任務が「トランポリンを使って敵の屋敷に侵入する」って冗談としか思えないものだし。

ただ90分という短い時間のなかで主要人物のそれぞれのキャラを巧みに描き、それでいて作戦決行までのドラマを飽きることなくテンポ良く描いているのが気持ちいい。

そして後半、メインである機密書類の奪取に成功したものの敵に囲まれてから一気に空気が変わりハードに。先に潜入して主人公たちの行動を手助けしていたヒロイン(めっちゃ美人)を犠牲にして、作戦決行を優先するチームの非情さ。味方も敵も容赦なく死んでいく描写…。ラストも『特攻~』と似た感じだが、人数が少ない分キャラに感情移入しやすいのでこちらの方に軍配が上がる。

敵役となるナチス高官となるキンスキーの迫力はさすがで、緩くなりそうな映画の雰囲気を引き締める。
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