ボブおじさん

稲村ジェーンのボブおじさんのレビュー・感想・評価

稲村ジェーン(1990年製作の映画)
2.2
「ビッグ・ウェンズデー」を観て、なぜかこの映画を思い出してしまった😅

もちろんこの映画は「ビッグ・ウェンズデー」を思いっきり意識している。だが、悲しいかな映画の出来としては足元にも及ばない。基本、昔見た映画をレビューする際は、再鑑賞してからレビューしているが、今回だけは記憶でレビューする。ハッキリ言って再鑑賞する気になれないからだ。

サザンも桑田佳祐も大好きだが、残念ながら監督桑田佳祐に映画の才能は無かった。主演の新人俳優加勢大周も悲しいほどの大根だ。そもそも台詞が聞き取りにくいし、サーフィン映画なのにサーフィンのシーンがほとんどないのも致命的だ。

だが、見どころ皆無のこの映画の中で、一点だけ強烈に印象に残るシーンがある。主人公たちのたまり場でもある稲村ヶ崎のライブカフェのステージに立つ、レイ・チャールズを想わせるサングラスをした盲目のシンガー。桑田扮する彼がラテンバンドの演奏に合わせて全編スペイン語詞の楽曲「愛は花のように(Olé!)」を歌い上げるシーンだ。

テーブルを叩き足を踏み鳴らしながら、盛り上がる観客たち。そのシーンはさながら一篇のミュージックビデオのように、完成された世界観を打ち放っている。終始退屈なこの映画の中でこのシーンだけは心震えた。

だが奇しくもこのシーンこそ、彼が映画監督としては三流でもミュージシャンとしては一流である事を証明することになってしまったのは、何とも皮肉だ😢

〝暑かったけどよぅ、短かかったよなぁ夏〟



だからどうした。



〈余談ですが〉
映画館を出てガッカリして帰る道中、日本ではサーフィン映画は無理なのかなと漠然と思ったりした。

だがその翌年、北野武が「あの夏、いちばん静かな海。」を公開する。

大好きな2人だが、映画の才能の明暗が見事なまでにハッキリと出てしまった😅

桑田さんこれからもその才能溢れる音楽で私たちをたくさん楽しませてください😊