がちゃん

稲村ジェーンのがちゃんのレビュー・感想・評価

稲村ジェーン(1990年製作の映画)
2.8
何か事件が起こるわけでもなく、ストーリーに起承転結があるわけでもなく、観た後に余韻があるわけでもありません。

1965年の鎌倉市稲村ケ崎。
サーファーの加勢大周を中心とした人間模様。

全編にわたってサザン・オールスターズの音楽が流れ、
雰囲気だけを楽しむ映画となっている。

2時間、映画館の椅子に座っているのが苦痛だった映画だったのですが、
唯一、ダイハツミゼットが画面奥から走ってくるシーンだけはとても印象に残っている。

この作品を監督した桑田佳祐は、
映画的には全くの素人だった。
素人が商業映画を製作するとろくなことがないということを見事に証明してみせたのだが、音楽に同化した映像センスがこのシーンを作ったのだろう。

カメラを動かしまわして、持たない間を必死で持たそうとしているのが見えてくる。
そこに力を入れたのだろうが、
カメラ据え置きのシーンの方が印象に残っているという皮肉。

が、素人なりに感性を研ぎ澄まし、自分のイメージを一生懸命映像化しようとする姿勢が見えるので、苦笑しつつも微笑ましくなってくる。

今でも名曲と言われる、『真夏の果実』や『希望の轍』は本作から生まれています。

桑田佳祐が大きく関係している映画ならば、
同じく粗削りでまさしく粗雑だけれども、
『モーニングムーンは粗雑に』(1981)
のほうが面白かったな。
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