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コレヒドール戦記のすずすのレビュー・感想・評価

コレヒドール戦記(1945年製作の映画)
3.8
なる程、戦争映画の描き方として、こういう方法があるのかと考えさせる示唆的な一作。実在の哨戒艇の大尉と中尉を基に、作為的なドラマにせず、雑記帳のように現場兵士の苦労を描く秀作です。

『西部戦線異状なし』に端を発するかのような雑記帳スタイルは、サミュエル・フラーの『最前線物語』など、戦争映画のひとつのスタイルになっている気がします。

軍隊に同行して実録の戦争ドキュメントを撮影していたジョン・フォード監督だけあって、感傷的なドラマにしない手法が、原題「They are Expendables(奴らは消耗品)」というテーマを、よりくっきりと浮かび上がらせています。

但し、映画のもう一つの主役、小型の哨戒艇が、敵・日本軍の替えの効かない至宝[戦艦大和]のような大型船より、役に立つという軍幹部の戦術の見極めを描いている点も注目に値します。
「Size Does Matter(大きさこそ重要)」はハリウッド映画版『ゴジラ』のキャッチコピーですが、『アルキメデスの大戦』も念頭に、当時よ日本の首脳たちの管理能力不足を思わずにいられません。
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