一人旅

消えた拳銃の一人旅のレビュー・感想・評価

消えた拳銃(1966年製作の映画)
5.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
バズ・キューリック監督作。

殺人の疑いをかけられた刑事が身の潔白を証明すべく奔走する姿を描いたサスペンス。

ホイット・マスターソンの小説「711ーOfficer needs help(711番ー警察が救援を求めている)」を『ハンター』(80)でスティーヴ・マックィーンの最期の勇姿を撮ったバズ・キューリック監督が映像化した刑事物で、主演のデヴィッド・ジャンセンが追い詰められた濡れ衣刑事を男の渋さ全開に演じています。

職務質問中に拳銃を取り出した男を自己防衛のため射殺してしまった主人公の刑事が、その後の捜査で男が所持していたはずの拳銃が現場から発見されなかったことから、“無防備の一般人を射殺した警察官”として訴追されてしまい、身の潔白を証明すべく関係者に聴き込みを始めるが―というミステリー色濃厚な刑事サスペンスとなっています。

60年代の硬派な刑事物ですが、謎が謎を呼ぶ迷宮のような捜査模様に惹き込まれる逸品で、観客をミスリードさせるトリックや伏線の数々、予想を大きく裏切る驚愕の結末に唸らされますし、過去にトラウマを抱えている上に孤立無援となった刑事の焦燥心理も丹念に描き込まれています。

主演のデヴィッド・ジャンセンが笑顔皆無、ひたすら眉間に皺を寄せながら殺人の濡れ衣を着せられ一人奔走する刑事を力演しています。また、死んだ男の知り合いのおばあちゃん役として、サイレント期の名女優:リリアン・ギッシュ(御年73歳)が元気に顔を見せているのも貴重な一作であります。
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